2023年9月1日金曜日

原材料一覧のアンカー役 ビタミン&ミネラル3

 image by congerdesign from Pixabay


ペットフードの原材料一覧のラスト辺りにバーッと並ぶ難解な名前の物質たち。あれらのほとんどはビタミンとミネラル類です。今回は3回目、ミネラルを取り上げます。

1回目 ビタミン&ミネラル1(ビタミンAとB)

2回目 ビタミン&ミネラル2(ビタミンC、D、E)


ミネラルって何?

そもそもミネラルって何なのでしょうか?

自然界に100種類以上存在する金属元素がミネラルです。そのうちの16種類が、人間や動物が食物から摂取しなくてはならないものです。

ミネラルとは、体を構成する「酸素、炭素、水素、窒素」の主要4元素以外のものの総称です。また「糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル」の5大栄養素のひとつでもあります。

ミネラルは歯や骨格を作るだけでなく、体内の水分や酸のバランスを保ったり、神経の伝達、筋肉の収縮、酵素の構成成分となるなど、身体中で重要な役割を担っています。ミネラルは命を維持するために絶対に必要な栄養だというわけです。

それぞれのミネラルは、お互いに働きかけ合ってバランスを取りながら代謝を行なっています。特定のミネラルだけが長期的に不足したり、また反対に特定のミネラルだけを長期的に摂り過ぎたりすると、お互いに働きかけ合うバランスが崩れてしまいます。

身体が必要とするミネラルのバランスはライフステージによっても変わります。特に骨格や筋肉がどんどん大きくなる乳幼児期〜成長期のミネラルバランスは非常に重要です。子犬や子猫には専用のフードを与えるのが理想的な理由のひとつです。


ペットフードに含まれるミネラル

哺乳類に必要な必須ミネラルは16種類と考えられていますが、AAFCOがペットフードに含まれていなくてはならない量を定めているミネラルは次の12種類です。

  • カルシウム
  • リン
  • カリウム
  • ナトリウム
  • 塩素
  • マグネシウム
  • マンガン
  • 亜鉛
  • ヨウ素
  • セレン

青い文字のミネラルは常量元素またはマクロミネラルと呼ばれ、体内での含有量も摂取する必要量も多いものです。

赤い文字のミネラルは微量元素またはミクロミネラルと呼ばれ、必要量がごく少量のものです。

ビタミンの項目でも書きましたが、ペットフードに添加されるミネラル類はあらかじめ正しい配合でミックスされたものがペットフードメーカーに納品されます。あらかじめ混合されたものが添加されることで、必要な栄養素がペットフードの粒に均等に行き渡ります。

ではそれぞれのミネラルについて、役割や知っておきたいポイントをあげていきます。


カルシウム

カルシウムの働き
・筋肉の収縮
・血管の収縮と拡張
・ホルモンの分泌
・血液凝固促進
・骨と歯の構造成分

カルシウムと言えば骨や歯というイメージですが、それ以外にも重要な役割を担っています。例えば上に挙げた「筋肉の収縮」、ここには心臓などの内臓の筋肉も含まれますから、血液中のカルシウムが不足すると生命を維持することができません。

つまり血液中のカルシウムは絶対に不足させるわけにはいかないので、食事から摂るカルシウムが不足すると、自分の骨を破壊してでも血中カルシウム量は維持されます。(骨が犠牲になった状態が骨粗しょう症です。骨粗しょう症は犬にも猫にも起こります。)血液検査をしてもカルシウムが不足しているかどうかがわからないのはこのためです。

こんなに重要なミネラルなのですが、ペットフードの原材料一覧にはカルシウムと記載されていないことがあります。食材としての原材料で骨付きの肉や丸ごとの魚を使用している場合などがそれにあたります。

(でもたまにカルシウム源となりそうなものが書かれていないのにカルシウム添加の表示がない場合があります。ドッグフード原材料シリーズで「なぜだ?」と書くことがあるのはこんな場合。そういう場合でも総合栄養食と記載されているので、多分原材料一覧の書き方の詰めが甘いのだと思います。小規模なメーカーでは起こりがちです。

ペットフードの原材料一覧では単純に「カルシウム」ではなく次のように記載されていることもあります。

・炭酸カルシウム
 貝殻や石灰石を粉砕した加工品、または合成炭酸カルシウム。
 安価なのでペットフードではよく見られます。

・卵殻カルシウム
 卵の殻の粉末ですが、これも成分は炭酸カルシウムです。

・乳酸カルシウム
 乳酸菌の発酵によって生じるカルシウム化合物。
 値段が高いのでペットフードではあまり見かけません。

ペットフードの栄養成分と言えばAAFCO(アメリカ飼料検査官協会)が一番に思い出されますが、AAFCOの栄養基準の元になっているのはUnited States National Research Council(略称NRC 米国学術研究会議)の栄養基準です。

NRCによると、犬は1日に体重1kgあたり50mg、猫(体重3〜5kg)は1日に180mgのカルシウムが最低限必要だとされています。
体重10kgの犬なら1日に最低500mgのカルシウムが必要、体重5kgの猫なら最低180mg。日本の成人のカルシウム摂取推奨量は670〜800mgですから、体の大きさに比べて犬や猫がどれだけカルシウムを多く必要とするかがよくわかりますね。
(ちなみにアメリカの成人のカルシウム摂取推奨量は1,000〜1,200mg)

リン

リンの働き
・骨と歯の構成成分
・DNA、RNA、細胞膜のリン脂質に含まれる
・身体が適切に機能するためのエネルギー代謝

リンはカルシウムやマグネシウムと結合して骨や歯を構成しています。骨の強度にはリンとカルシウムの割合が重要で、リン:カルシウムは1:1〜1:2に保つ必要があります。

リンは肉や魚、卵などに多く含まれるので不足することはあまりありません。ペットフードの場合はチキンミールやフィッシュミールに含まれる骨にもリンが多く含まれます。そのため原材料一覧に「リン」という表記を見ることはほぼありません。(たまに骨粉を原料にしたリン酸カルシウムを使っているフードがあるので「ほぼ」と書きました。)

食物から摂ったリンは上記のような役割を果たし、余った分は尿中に排泄されます。リンの排泄や再吸収のために働くのは腎臓ですが、腎臓の機能が低下すると不要なリンを排泄することができなくなります。腎機能が低下した犬や猫のフードが低リン処方になっているのはこのためです。


マグネシウム

マグネシウムのはたらき
・骨と歯の構造成分
・神経の情報伝達
・筋肉の収縮
・体内のエネルギー代謝全般に関わる

マグネシウムは、精製していない穀類、雑穀、豆類、種子類、魚介類、海藻に多く含まれます。ペットフード特有の原材料ではミール類に含まれる骨にも多く含まれるため、原材料一覧にマグネシウムという記載を見ることはあまり多くありません。


カリウム
カリウムのはたらき
・細胞の浸透圧を調整し一定に保つ
・神経の情報伝達
・筋肉の収縮

体内のカリウムはそのほとんどが細胞内に含まれ、細胞が正常に働くために不可欠です。これらの働きはナトリウムとお互いに密接に関連しています。
野菜、果物、肉類、魚、卵など幅広く含まれますが、ペットフードでは塩化カリウムがカリウム補給の目的で配合されます。



ナトリウム

ナトリウムのはたらき
・細胞の浸透圧を調整し一定に保つ
・筋肉の収縮
・神経の情報伝達
・栄養素の吸収や輸送

ナトリウムは食塩の主成分のひとつです。食塩は99%が塩化ナトリウム(塩素とナトリウムの化合物)です。
ペットフードでは塩化ナトリウムまたは塩として配合されることが多いです。
「犬や猫に塩分はNG」というのは過剰な塩分を日常的に与えるのはダメという意味で、塩を全く与えないとナトリウム不足で命に関わることもあります。



塩素

塩素のはたらき
・体液の浸透圧の調節
・血液や腸内環境のph調整
・胃酸の構成成分

食品から摂取できる量はごくわずかなので、塩化ナトリウムなど塩素の化合物から摂取します。ここにも犬や猫に塩が必要な理由がありますね。




鉄のはたらき
・ヘモグロビン(血液の酸素運搬役)ミオグロビン(筋肉の酸素運搬役)の構成成分
・酵素の働きをサポートする補酵素

ペットフードに使用される原材料で鉄を多く含むのは、牛肉、馬肉、鹿肉などの赤身肉、レバーをはじめとする内臓肉、植物性ではほうれん草やネトル(イラクサ)などがあります。
食品以外でサプリメントとしてペットフードに配合される鉄は単に鉄と表記されていることも多いですが、硫酸鉄、ピロリン酸鉄という名前で表記されている場合もあります。また吸収性を高めるためにアミノ酸と結合させたアミノ酸キレート鉄が使用されていることもあります。


銅のはたらき
・酵素の構成成分
・酵素の働きをサポートする補酵素
・被毛の色素であるメラニンの合成

ペットフードの原材料では肉類や豆類に多く含まれ不足することはあまりないのですが、多量の鉄や亜鉛といっしょに摂取すると銅の利用率が低くなります。
ペットフードでは単に銅と表記されていることも多いですが、硫酸銅、銅アミノ酸キレートといった名で表記されていることもあります。


マンガン
マンガンのはたらき
・酵素の構成成分
・細胞のミトコンドリアが正常に機能するために必要

体内に存在する量はごくわずかですが、上記のように重要な役割を持っています。
ペットフードの原材料では穀物に多く含まれるので、サプリメントとして添加されていないフードも多いです。添加されている場合、酸化亜鉛マンガン、硫酸マンガンといった名で表記されていることもあります。


亜鉛
亜鉛のはたらき
・酵素の構成成分
免疫機構、成長、生殖などの生理機能に関わる
・コラーゲンやケラチンの合成に必要なので傷の治癒や換毛期には欠かせない

皮膚、粘膜、被毛の健康に重要な役割を果たしています。
ペットフードの原材料では全粒穀物、肉類、内臓肉に多く含まれます。亜鉛は小腸で鉄と銅の吸収を阻害するため、ペットフードではそれを見越して鉄と銅を最小必要量よりも多く添加している場合も多い。
ペットフードへの添加は、硫酸亜鉛、酸化亜鉛が使用されていることもあります。また吸収率を高めるためにアミノ酸と結合させたアミノ酸キレート亜鉛が使用されることもあります。

ヨウ素
要素のはたらき
・甲状腺ホルモンの構成成分

ペットフードの原材料では昆布、海藻、魚類、海塩に含まれます。体内での必要量はごくわずかです。


セレン

セレンのはたらき
・全ての体細胞に存在する抗酸化物質であるグルタチオンペルオキシターゼの必須成分

体内での必要量はごくわずかで、ペットフードの原材料では魚、レバーなどが供給源になります。
上記のようにセレンは体細胞に存在する抗酸化物質の必須成分で、別の代表的な抗酸化物質であるビタミンEと協調して働きます。細胞を酸化(損傷)させる活性酸素から細胞膜を保護し酸化を抑制するために重要な役割を果たします。
ペットフードへの添加では、吸収率の高いセレン酵母として配合されていることもあります。


以上がペットフードに含まれていなくてはならないミネラル類についての簡単な説明です。ドッグフード原材料シリーズでは書ききれない部分の補足だと考えてください。


【参考URL】

https://www.petfoodinstitute.org/blog/a-to-z-of-pet-food-minerals/

https://petcurean.com/en-us/vitamin-mineral-supplementation-in-pet-food

https://www.hillspet.com/pet-care/nutrition-feeding/minerals?lightboxfired=true#





2022年12月16日金曜日

原材料一覧のアンカー役 ビタミン&ミネラル2

Matthias BöckelによるPixabayからの画像 


前回のビタミン&ミネラルからずいぶん時間が経ってしまいました。

前回はこちら→ ビタミン&ミネラル1

遅まきながら、ビタミン&ミネラル2でございます。
今回はビタミンC、D、Eです。なんとなくお馴染みな顔ぶれですよね。



ビタミンC

ペットフードの栄養の基準と言えば最初に出てくるのはAAFCOですね。
米国資料検査官協会 The Association of American Feed Control Officialsの頭文字を取ってAAFCOと呼ばれています。
ペットフードの栄養基準やラベル表示に関する基準を制定している団体で、日本のペットフード構成取引協会もAAFCOの基準を採用しています。
(ヨーロッパのEC加盟国ではFEDIAFという団体の基準が採用されています。)

このAAFCOが定めている栄養基準にはビタミンCの基準を定めた項目がありません。
その理由は犬も猫も体内でビタミンCを生成することができるので、食品から摂る必要がないから。
ですから原材料一覧の最後にズラッと並んでいるビタミン類にビタミンCが含まれていないフードも少なくありません。
またビタミンC(アスコルビン酸)が使われていても、それは栄養補給のためではなく酸化防止剤としてという場合もあります。

しかし研究が進み、犬や猫も精神的なストレス(病院、ペットホテルなど)を感じた時にはビタミンCの生成量が急速に減少することがわかっています。また体調を崩した時、激しい運動の後など身体的なストレスの後には血中のビタミンC濃度が低くなることもわかっています。

ビタミンCはコラーゲンの生成に関わっており、コラーゲンは丈夫で健康な関節、腱、筋肉を作るために必要です。
またビタミンCは代表的な抗酸化物質です。(前述した通り酸化防止剤として使用されるくらい)食品や体内の酸化(酸素が関与する有害な反応)を抑制する作用を持っているということです。

このような理由で、いわゆるプレミアムフードと呼ばれるタイプのフードではビタミンCが栄養補給のための食品添加物として配合されていたり、ビタミンC補給の目的での原材料が使われている場合もあります。(ローズヒップなど)

フードに添加されているビタミンCは、L-アスコルビン酸またはアスコルビン酸と表示されている場合もあります。

フードにビタミンCが添加されていても、激しい運動や通院の後などはビタミンCの豊富な食材をちょこっと与えるのは動物にとってメリットがあります。ふかしたサツマイモや生の果物、軽くサッと湯通ししたカリフラワーなどはビタミンC補給に最適です。(糖分の摂りすぎにならないよう量には注意)

ビタミンCをサプリメントで与えるのはあまりお勧めしません。ビタミンCのサプリメントは含有量が多くお腹が緩くなる場合が多いからです。病気の治療にビタミンCサプリを集中的に使う場合がありますが、これはもちろん獣医師が行うことです。基本的には体内で生成できるので、補給には食品が良いと思います。



ビタミンD

ビタミンCとは反対に、人間は日光を浴びると皮膚でビタミンD前駆体が生成され肝臓と腎臓で活性化されます。犬や猫の皮膚にはこの能力がありません。ですからビタミンDは必ず食事から摂取しなくてはなりません。

ペットフードの原料では、レバー、魚肉、魚油がビタミンDを含むものです。これら原材料の他に、ほとんどのフードにビタミンDはサプリメントで配合されています。

ビタミンDはカルシウムおよびリンの吸収を促進し尿中への排泄を減少させます。いくらカルシウムを摂取してもビタミンDが足りないと血中カルシウムが不足して、帳尻を合わせるためにカルシウムが骨から溶け出して血中濃度を保ちます。こうなると骨は脆くなり危険です。

ビタミンDは脂溶性ビタミンで体内に蓄積するので欠乏症は起こりにくいのですが、過剰摂取は問題になります。水溶性のビタミンB群やビタミンCと違って過剰分が尿中に排泄されることがないからです。
通常ペットフードに含まれている量では過剰摂取になることはありません。

過剰摂取と言えば、たいへん特殊な例ですが2019年に複数のメーカーのフードにビタミンDが過剰混入していたことによるリコール騒動がありました。

この件について当時書いたのがこちら



この件ではヒルズに対する集団訴訟が起き、同社は最終的に約13億円の賠償金で和解しています。

上記の件は飼い主の責任ではありませんがビタミンと言えど過剰摂取の恐ろしさを示しています。
人間用のビタミンDサプリメント、処方薬の乾癬治療用軟膏(ビタミンDを多く含む)などは犬や猫が誤飲しないよう取り扱いにはくれぐれも注意しましょう。


ビタミンE

ビタミンEはナッツ類や植物油に多く含まれています。ペットフードではヒマワリ油やオリーブ油が使われている場合、ビタミンEの摂取が期待できます。

ビタミンEとして作用する物質はトコフェロールと言い、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタの4種類があります。ナッツなど食品から精製されたビタミンEにはこの4つが全て含まれているためミックストコフェロールと呼ばれます。
ミックストコフェロール、お馴染みの名前ですね。ペットフードの原材料一覧の最後のほうに「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」と書かれているのをよく見かけますが、あれはビタミンEです。

このようにほとんどのペットフードには酸化防止剤としてビタミンEが添加されているので、ビタミン類一覧のところにはビタミンEの名前がない場合が多いです。サプリメントとしてビタミンEが添加される場合はアルファトコフェロールという名で表記されています。トコフェロールの中で最も抗酸化作用が高いのがこのアルファαです。

酸化防止剤になるくらいですから、ビタミンEは摂取した後に体内の脂質の酸化を防止するという働きを持っています。不足すると免疫系の異常や神経障害を引き起こすことがあります。
ペットフードを与えている場合は不足することはありませんが、手作りで「油控えめ」を心がけていると決定的に不足しやすいビタミンなのでご注意ください。

ビタミンEはビタミンAやDと同様に脂溶性ビタミンなのですが、便といっしょに排出されるためAやDと違って蓄積されにくく、通常の食事を摂っている場合には過剰症になることはまずありません。

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ビタミンについてAからEまで書きました。次はミネラル類について書いていく予定。

 


2022年10月19日水曜日

ペットフードに使われるコーンは本当に「悪者」なの?

Cornell FrühaufによるPixabayからの画像

ペットフードの原材料としてのコーン(とうもろこし)は「粗悪な原料」と呼ばれがちでフードにこだわる飼い主さんの間では「コーンを使ったフードなんてあり得ない!」というのが大体一致した見解のように思います。

またペットフードに使われているコーンの形態はとうもろこしとストレートに書いてある場合もあれば、とうもろこし粉、コーングルテンと色んな名前が挙げられていて、いったいどう違うの?と思いますよね。

ここではひとつひとつ解説していきます。コーンに対する見方がちょっと変わるかもしれません。


コーンは「カサ増し」原料じゃないよ

まず最初にコーン(とうもろこし)についてお話しします。
とうもろこし美味しいですよね。それがいざペットフードの話となると途端に悪者にされる気の毒な存在でもあります。

コーンの粒の部分の栄養価のうち約3分の2は炭水化物ですが、100g中の値で言えばタンパク質8〜9gや脂質5gが含まれています。さらに食物繊維も多く含まれているので食後の血糖値の上昇が緩やかな低GIの食品です。
三大栄養素の他にはβカロチン、ビタミンB群、ビタミンEも多く含んでいます。
さらに、とうもろこしのあの黄色い色はゼアキサンチンというフィトケミカルで眼精疲労や眼病予防をサポートします。コーンすごくない?

私がニコと暮らし始めたばかりの頃、ドッグフードのことを説明したネット上のあれこれで「ペットフードの原材料に”とうもろこし”とか”コーン”と書かれている場合、外側の皮も芯もヒゲも全部使われている。そうすることでフードのカサが増えて安価に製造できるから」というものを読み「わ〜悪質だなあ、コーンの入ったフードは避けよう」と思ったことを覚えています。ちなみにこれは大ウソです。

コーンという穀物は、実の部分はもちろんのこと外皮もヒゲも芯もすべて様々な用途に使われています。コーンの芯は乾燥加工して燃料、石油掘削用吸着剤、乾燥剤、機械類の研磨剤などに利用されています。外皮は紙や段ボールに、ヒゲはコーンシルクとしてお茶や漢方薬にと、ペットフードのカサ増しにだけなんてもったいない使い方はされません。


コーンを食べるとアレルギーになりやすい?

ペットフードに使用されるコーンは私たちが食べる甘味の強い種類ではなく、糖分の少ない飼料用がほとんどです。原材料一覧に「コーン/とうもろこし」または「とうもろこし粉」と書いてある場合は乾燥したコーンの粒を挽いたものです。

私たちがコーンを食べると歯間に繊維が残りがちですが、あれは粒の外側の皮=果皮(かひ)です。炭水化物やタンパク質は果皮の中身の部分に含まれますが、果皮はセルロースという不溶性食物繊維で人も犬も消化できません。コーンは消化が良くないという印象が強いのはこの果皮のせいですね。上に書いたように挽いてあると中身(胚乳と胚芽)の部分が果皮に包まれた状態ではなくなるので消化しやすくなります。

粒の中身の胚乳というのがコーン粒のメインの部分、胚芽は粒の付け根の部分です。胚芽は搾ってコーン油を採る部分です。この胚芽に含まれる脂質はオメガ6脂肪酸のひとつリノール酸を豊富に含みます。(オメガ6脂肪酸は体内で合成できないので食物から摂取することが不可欠の必須脂肪酸です。必須脂肪酸はもうひとつオメガ3脂肪酸というのがあります。)

リノール酸はコレステロールや中性脂肪を低下させる、皮膚の健康を保つ、免疫機能を正常に保つなど重要な役割を持っています。しかしもうひとつの必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸との摂取バランスが崩れると、これら重要な役割に支障が起きます。

ペットフードの脂肪酸摂取バランスが崩れるシナリオで最も考えられるのはリノール酸の過剰摂取です。通常、ペットフードにはオメガ6脂肪酸の摂取源として鶏脂肪、ひまわり油、キャノーラ油(いずれのオメガ6脂肪酸もリノール酸がメイン)などが加えられています。胚芽部分を含むコーンが使われていると、これらのリノール酸を含む脂質に上乗せしてリノール酸を摂取することになります。

リノール酸の働きのひとつに「免疫機能を正常に保つ」というものを挙げましたが、ここには体内で炎症反応を起こすというものが含まれます。炎症を起こすことで体に入った細菌やウイルスを攻撃排除します。
一方、オメガ3脂肪酸は炎症反応が過剰にならないよう制御する役割があるのですが、リノール酸の摂取量が多すぎたりオメガ3脂肪酸が足りないと制御が利かず炎症反応が暴走することがあります。具体的には皮膚が赤く痒くなったり、おなかが緩くなったりといったことです。

コーンを使ったフードを食べ続けているうちに足や耳に炎症が起きたという場合、リノール酸の過剰摂取も考えられる理由です。カイカイや下痢が起きたからといって全部がアレルギーというわけではないのです。

よく「コーンはアレルギーの原因になりやすいので避けましょう」という言葉を見かけますが、犬猫のアレルギーのうち穀物が原因であるものは約1%だそうです。特定の食物を摂っていると将来アレルギーになるわけではないし、特定の食物を避けたからアレルギーにならないわけでもありません。(既にアレルギーがあって特定の食物を避けるのは話が別)

コーンでアレルギーが起きることがないとは言いませんが、その確率は低いものです。それよりもコーンの胚芽部分が原材料に含まれていることでリノール酸の過剰摂取が起きて炎症反応が強く出過ぎたということが多いのではないかと思います。コーンを多く含むフードで何らかの健康問題が起きるなら避けた方が良いという結論は同じでも、全てをアレルギーで片付けるのではなく、食べ物の性質を知っておくことで落ち着いた対応ができます。


コーングルテンって何?

原材料一覧に「とうもろこし」とか「コーン」と書かれていれば分かりやすいのですが、よく見かけるコーン関連の原材料で「コーングルテン」というものがありますね。(コーングルテンミールとかコーングルテンフィードと呼ばれることもあります。)
コーン自体に粗悪のイメージがつきまとう上にグルテンという「犬には避けるべし!」と言われがちな名前がプラスされて、とんでもない極悪原材料だと思われているフシがあります。

コーングルテンとはコーンのタンパク質です。
厳密に定義すると、グルテンとは小麦に含まれるタンパク質のうちグルテニンとグリアジンが水と結びついてできる物質です。小麦粉に水を加えて練るとモチモチするのはグルテンのせいです。
しかしもう少し大雑把に「穀物の粉からでんぷんを取り除いた後の粘り気のある残留物」をグルテンと呼ぶことがあります。コーンの場合はコーンスターチを精製した際の副産物がコーングルテンです。
しかしコーングルテンは小麦のグルテンとは全く違うものです。ややこしい呼び方しないで欲しいですね😖

コーングルテンがどのように作られるかを説明します。
まずコーンの粒を亜硫酸水に浸して柔らかくした上でそのまま浸漬液の中で破砕し、遠心分離機にかけて果皮、胚芽を取り除きます。果皮は乾燥粉末にして食物繊維として食品添加物などになります。胚芽はコーン油の原料になります。
亜硫酸水の浸漬液の中ではでんぷんが沈澱しています。これを取り出して乾燥したものがコーンスターチ、上澄液に含まれていたものを分離したものがコーングルテンです。

↑上記の工程で「亜硫酸水ってなに!?なんか怖い!」と思われたかもしれないですね。
亜硫酸水は亜硫酸の水溶液で、亜硫酸はワインの酸化防止剤やドライフルーツの漂白剤としても使用されます。コーンスターチやコーングルテンの加工工程では希釈した状態で使われ、最終的には水分は取り除かれているので製品に含まれるのは少量です。言うまでもなく安全基準は満たしています。

話をコーングルテンに戻すと、このように複雑な工程を経て消化しにくい部分は取り除いて作られていますからコーングルテンは犬や猫にとっても消化の良いタンパク質です。胚芽部分も含まれませんから、コーングルテンではリノール酸の過剰摂取にはなりません。
よく「コーングルテンは消化が悪くアレルギーを起こしやすい」という誤解を目にしますが、そんなことはありません。

しかしコーングルテンが犬や猫にとって理想的ではない理由があります。それはタンパク質を構成するアミノ酸のうち必須アミノ酸のリジンとトリプトファンが少ないこと。
犬が食事から摂取する必要のある必須アミノ酸は10種類、猫は11種類あります。
それら10または11種類のアミノ酸のそれぞれの理想量が10だと仮定して、リジンが6、トリプトファンが3で、他のアミノ酸は10含まれている食品を摂った場合10含まれている他のアミノ酸たちも一番低いトリプトファンと同じ3だけしか活用されないんですよ。
これをアミノ酸の桶理論と言います。
詳しくはこちらで → アミノ酸の桶理論〜SMILES@LA

必須アミノ酸のうち2つが少ないだけでなく、他のアミノ酸も活用されず単なるエネルギー源になってしまうのがコーングルテンの最大の欠点です。とは言え、ほとんどのフードはこれを補うためにチキンミールが使われたり、アミノ酸そのものが添加されたりしているので、「コーングルテンを使ってる!アミノ酸不足!」というわけではありません。


それでもやっぱりコーンには注意が必要な理由

コーンが世間で言われているほど粗悪なわけではないこと(特別に優良でもないけれど)を書いてきましたが、それでもやっぱりコーンには注意しておきたいことがあります。ついでに言うとコーンと双璧をなすフードの二大悪役である小麦も。

それはコーンと小麦は最も遺伝子操作されている穀物であり、その大部分が除草剤や農薬への耐性の高さを作り出すためであること。つまり除草剤や農薬が多く使われている可能性が高いんですね。これはペットフードの原材料一覧を見てもわからないことですから知っておいた方が良いですね。

ミールや副産物もそうなのですが、間違った定義や説明で不要な不安を感じたり、特定の材料をを怖がって選択範囲を狭めてしまうことがないよう、お手伝いできればいいなと思っています。



《参考サイト》

https://www.epa.gov/sites/default/files/2014-12/documents/impacts_of_ethanol_policy_on_corn_prices.pdf

https://www.sciencedirect.com/topics/engineering/corn-cob

https://nutritionrvn.com/2021/02/06/food-allergies-hypoallergenic-diets/

https://www.sciencedirect.com/topics/agricultural-and-biological-sciences/corn-gluten

https://sitn.hms.harvard.edu/flash/2015/gmos-and-pesticides/

2022年9月22日木曜日

いろいろ知っておきたいフィッシュミールのこと

Image by Mostafa Elturkey from Pixabay 


ペットフードの原材料で肉類のミールに次いで登場回数の多いものと言えば、フィッシュミールです。魚粉と表記されている場合もありますが同じものです。

肉類のミールの項目で書いたように、ミールというのは「挽いたり潰したりして細かくした食べ物」という意味があります。魚を挽いたり潰したりして細かくしたフィッシュミールの製法からお話ししていきます。

Fishmeal powder 
Phu Thinh Co, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

フィッシュミールの製法

フィッシュミールの場合も製法は肉類のミールとほとんど変わりません。粉砕した魚を蒸して水分を飛ばした後に圧搾して油分を取り除きます。次にこの油分を搾った魚を巨大なドラムのような釜に入れてぐるぐる回転させながら加熱します。水分10%の水準まで乾燥させて粉状に挽いたものがフィッシュミールです。見た目は上の画像のようになります。

肉類のミールもそうですが、この工程はペットフードメーカーが行っているのではありません。飼料用やペットフード用のミールを専門に作る会社があり、巨大な工場で一括して生産されます。ミールはペットフードメーカーとは別のところで作られているというのは添加物の表示などを考える際にポイントとなる大事な点です。ペットフードの原材料一覧に表記される添加物はペットフードメーカーが添加するものだけだからです。

フィッシュミールの原料

フィッシュミールの原料となる魚は非常に多岐に渡ります。最も多いのは人間の食用には小さすぎたり骨が多すぎたりする天然捕獲の海洋魚を丸ごと使うものです。イワシ、メンハーデンフィッシュ、ニシンなどが主なもので、これらはフィッシュミールを製造するためだけに捕獲されます。人間が食べるための魚は捕獲だけでなく養殖の割合も高いですが、飼料や肥料のためのフィッシュミールはそのほとんどを捕獲に頼っています。
そして割合は低いですが、缶詰工場や鮮魚の処理場から出る魚のアラや内臓がフィッシュミールに加工されることもあります。海洋資源の有効利用という点で良いことだと思います。

フィッシュミールと酸化防止剤

フィッシュミールは脂肪酸を多く含むため非常に酸化しやすいという性質があります。酸化したフィッシュミールは発熱し、倉庫や船荷として大量に保管や運送をする際に発熱すると火災や爆発を引き起こすおそれもあります。
そのためフィッシュミールには酸化防止剤の添加が義務付けられています。アメリカの場合フィッシュミールに使う酸化防止剤はエトキシキンまたはBHTまたはミックストコフェロールと定められています。
アメリカ以外の国の規制がちょっとわからないのですが、そう大きくは変わらないと思います。食品添加物の規制が厳しいEUでもフィッシュミールには酸化による自然発火防止のためにエトキシキンが使用されています。日本も同様です。

フィッシュミールに使われる酸化防止剤で最も多いのはエトキシキンです。ペットフードの解説などで「避けたい食品添加物」の筆頭としてあげられるのはエトキシキンですが、フィッシュミールに多く使われる理由は酸化防止の効果の高さと価格の安さです。
エトキシキンと同じく合成酸化防止剤であるBHTは効果がやや弱く、さらに価格がエトキシキンの4〜5倍です。
ミックストコフェロールは天然由来の酸化防止剤ですが、効果はさらに弱くなり価格はエトキシキンの20〜25倍です。
海上輸送中の発火防止という理由を考えると、フィッシュミールのエトキシキン使用は致し方ないとも言えます。
なおフィッシュミールの時点で添加された食品添加物はペットフードの原材料一覧には表記されません。原材料一覧には書かれていないけれどペットフードに含まれるものです。

食品や飼料にエトキシキンが使用される場合、もちろん安全とされる規定のラインが守られています。しかしフィッシュミールの生産者もエトキシキンに対して安全性の調査が繰り返し行われていることから、規定が変更になるリスクを負っています。そのため近年はエトキシキンの使用量を可能な限り減らしたり、天然由来の酸化防止剤に切り替える業者も増えています。
これはフィッシュミールの生産プロセスの進歩によって製造時により多くの脂肪分を分離できるようになったためです。製品の脂肪分が少なくなれば酸化のリスクも低くなります。

フィッシュミールにはエトキシキンが使われている可能性が高いですよ!と言いたいわけではなくて、このようにさまざまな理由から完全にシャットアウトするのは難しいことを知っておいた方が良いと思うのです。
知っておくと「ある程度は体に入ってしまうから、解毒器官である肝臓や腎臓をいたわる策を考えよう」とか「これ以上合成添加物を摂取しないよう、原材料一覧に合成酸化防止剤が含まれるものは避けよう」と対策が立てられます。
対策した上で、ある程度はおおらかな気持ちでいることもまた大切です。


フィッシュミールの栄養

フィッシュミールも肉類のミールと同じく水分と油分を取り除いているのでタンパク質がギュッと凝縮して含まれています。重量当たりのタンパク質含有量が高いということです。フィッシュミールの粗タンパク質は60〜65%です。生の魚は重量のうち約75%が水分で残りの部分がタンパク質その他ですから、フィッシュミールがタンパク質源として効率が良いことがわかります。

しかしこれも肉類のミールと同じように、高温での加工時にタンパク質の構成要素であるアミノ酸が一部変性したり失われたりしています。ペットフードの原材料一覧を見てフィッシュミールの他に肉や魚が含まれているか、メチオニンやリシンなどアミノ酸が別途添加されているかどうかを確認することが大切です。

魚から摂取できる栄養と言えばオメガ3脂肪酸のDHAやEPAもまた重要なものです。オメガ3脂肪酸は体内で合成できないため必ず食事から摂取しなくてはいけない必須脂肪酸です。しかし上の酸化防止剤の項目で書いたように、近年のフィッシュミールは油分を可能な限り分離しています。また高温で加工する際には分解されてしまいます。ですからフィッシュミールはオメガ3脂肪酸の摂取源にはなりません。




ここまで書いてきたように、ペットフードの原材料としてのフィッシュミールには長所もあれば短所もあります。どちらも知っておくと「どの製品を買う?」「トッピングなどした方がいい?」などの判断をすることが簡単になります。いろいろと面倒くさくて悩ましいですが、愛する犬たち猫たちのためにフードの原材料のことを知っていきましょう。



2022年9月10日土曜日

原材料一覧のアンカー役、ビタミン&ミネラル1

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ペットフードの原材料一覧を見ると、最後の方にズラーッとカタカナや四文字熟語みたいな名前が並んでいますよね。あの難解な文字列の大部分はビタミンやミネラル類です。

ビタミンCとかカルシウムと馴染みのある書き方ならわかりやすいのですが、硫酸〇〇とかピリドキシンとか書いてあると「どんな化学薬品が使われているのか!?」とビビってしまうかもしれません。

実際に「合成のビタミンを添加しているペットフードは体に悪い!」という主張もちらほら見かけます。でも本当にそうなのでしょうか?

人間何事も知らないことには疑心暗鬼になって恐怖を感じたりするものです。正体がわかれば安心できるし、心配を煽るような文章に惑わされることも減らせます。
というわけで、今回はペットフードに添加されているビタミンとミネラルについて。(あえて「添加」という言葉を使いましたが、フードのビタミンやミネラルは合成であろうと天然由来あろうと食品添加物に分類されます。)


なぜフードにビタミン・ミネラルが必要なのか?

そもそもペットフードにビタミンやミネラルが添加されているのはどうしてでしょうか?
それはビタミンもミネラルも生命を維持するために必要だから、です。

タンパク質、脂肪、糖質(犬や猫にはそれほど必要ではないですが)の三大栄養素だけでは、細胞の組織を正常に保つこともできないし、内臓を含めた全身を動かす筋肉も神経伝達物質もうまく働きません。ビタミンやミネラルが足りなくなると本当に命に関わるのです。

食物に含まれている天然のビタミンやミネラルは調理加工、保存流通などの過程で壊れてしまうものも数多くあります。安定した形で摂取するためにはビタミンやミネラルのサプリメントが必要です。それは合成の場合もあれば天然由来の場合もあります。難解なカタカナの名前だから合成というわけでもありませんし、合成のビタミンは体に悪いというわけでもありません。

人間の場合、特定の合成のビタミン類を1日の必要量の何十倍何百倍という大量摂取をすれば何らかの悪影響があることは報告されています。
ビタミンやミネラルは正しいバランスで摂取されている時にお互いに栄養素の吸収を補完し合うことができますが、バランスが崩れると吸収の邪魔をし合ったり本来の働きを発揮することができません。長期に及ぶと健康を害することもあります。

ペットフードに添加されるビタミンとミネラルはあらかじめ正しい比率でバランス良く混合されたものがフードメーカーに納品されるので、そのような心配はありません。(事故でもない限りね)
そうなんですよ、ビタミンやミネラルは『ドッグフード用混合ビタミン』や『キャットフード用ミネラルミックス』というような製品がちゃんとあるんです。

ビタミンA

ビタミンAはレチノール、レチナール、レチナイン酸などレチノイド類の総称です。ペットフードに添加される場合、ビタミンAサプリメントやレチノールと表記されます。
ビタミンAは脂溶性で、食物から摂取すると必要時に備えて肝臓に貯蔵されます。だからレバーを食べるとビタミンAが摂取できるんですね。ペットフードの原材料でビタミンAの摂取源になるのはレバーと卵です。

「ビタミンAと言えばニンジンでは?」と思われたかも知れません。実はニンジンやカボチャなどに含まれるのはプロビタミンAと呼ばれる「体内でビタミンAに変換される物質」です。プロビタミンAの代表的なものはβカロチンです。
ペットフードではβカロチンが添加されているものもありますが、βカロチンは加熱しても壊れないためニンジンやカボチャが原材料として使われていれば、それがベータカロチンの摂取源となります。
ニンジンなど食物から摂取したβカロチンは、体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。先に書いたようにビタミンAは肝臓に貯蔵されるのですが、摂取量が多すぎるとどんどん蓄積されて健康に害を及ぼすことがあります。しかしβカロチンは必要量だけをビタミンAに変換し、残りは抗酸化物質として働くので過剰摂取の心配がありません。
犬も猫も人間に比べるとビタミンAの摂取量について寛容性が高い(過剰になりにくい)のですが、体は小さいですから気をつける必要があります。
なお猫はβカロチンを体内でビタミンAに変換することはできません。

ビタミンAは網膜色素の構成成分でもあり、暗いところでの視力を正常に保つために重要です。また亜鉛やアミノ酸との相乗効果で皮膚のターンオーバーや皮脂の産生を調整します。そのため ビタミンAが不足すると夜盲症などの眼疾患、皮膚がカサカサしたりフケが増える皮膚疾患に罹りやすくなります。またビタミンAは白血球を作るために必要です。白血球はウイルスや細菌から体を守っていますから、ビタミンAが不足すると感染症に罹りやすくなります。

ビタミンB群

ビタミンB「群」というだけあって、Bのグループは種類がいっぱいです。しかもビタミンBと書かれていない場合も多々あります。

チアミン

チアミンはビタミンB1です。
原材料一覧にはチアミンと書かれていることもあるし、丁寧な表記ならチアミン塩酸塩(塩酸チアミン)またはチアミン硝酸塩(硝酸チアミン)と書かれている場合もあります。
塩酸とか硝酸という言葉に不安を感じる方がいるかも知れませんが、これらは中和した状態の「塩(えん)」ですからご心配なく。
チアミンは糖質の代謝、つまり炭水化物からエネルギーを産生するのに重要な役割を担っています。チアミンは体内で作ることができず、食事から摂取する必要があります。体内での貯蔵期間は2週間程度で少量しか貯蔵できないため、食事から摂取しないと急速に欠乏症が進行します。
猫は体内に大量のビタミンを蓄えられないことと、犬の5倍のチアミンを必要とすることから犬よりもずっと多く欠乏症が見られます。
チアミン欠乏症でよく知られているのは脚気です。疲労感、筋力低下、歩行障害、視力低下などの症状があり、放置すると生命に関わります。
ペットフードの原材料では米糠やビール酵母からもチアミンが摂取できます。

リボフラビン

リボフラビンはビタミンB2です。
糖質、タンパク質、脂質の代謝に関わり、中でも脂質からエネルギーを産生する役割を主に担っています。
また赤血球形成、抗体の生産、甲状腺機能の維持にも重要です。
皮膚や粘膜、被毛の健康に深く関わっていて、不足すると皮膚がカサカサしてフケっぽくなったり毛艶が悪くなったりします。
卵や肉類、レバー、ビール酵母などペットフードの原材料に使われる食品にも多く含まれているのですが、光に当たると急速に分解されるためペットフードに添加されています。

ナイアシン

ナイアシンとはビタミンB3です。他のビタミンB群と同じように、糖質、タンパク質、脂質の代謝に不可欠です。
他のビタミンB群やアミノ酸とともにセラミドを合成し、皮膚を保護する働きを持っています。
犬はアミノ酸のトリプトファンからナイアシンを合成できますが、猫は合成がほとんどできないのでキャットフードの場合はナイアシンの必要量が高くなります。
ナイアシンはペットフードの原材料では肉類や穀類に多く含まれており、熱にも強いので添加が必要ない場合も多いです。しかしトウモロコシにはナイアシンが含まれず、アミノ酸のトリプトファンも少ないため、トウモロコシ主体のフードではナイアシンの添加は必須です。

パントテン酸

パントテン酸はビタミンB5です。
ペットフードに添加されるのはビタミンのパントテン酸にカルシウム塩を付加したパントテン酸カルシウムです。カルシウム塩はパントテン酸の吸収を高める働きをします。
パントテン酸カルシウムはパントテン酸とカルシウム塩の化合物ですが、その働きはパントテン酸と同じというわけですね、ややこしいですね😓ちなみにカルシウムとしては機能しません。
他のB群同様に糖質、タンパク質、脂質の代謝をサポートしています。またストレスを和らげる副腎皮質ホルモンの合成に関わっており、抗ストレスビタミンとも呼ばれます。
ペットフードの原材料では肉類、卵、豆類に多く含まれるので不足することはまずありません。


ピリドキシン

ピリドキシンのおなじみの名前はビタミンB6です。
原材料一覧ではピリドキシン塩酸塩(塩酸ピリドキシン)と表記されていることもあります。
ピリドキシンは補酵素(酵素の働きを助ける)としてタンパク質(アミノ酸)の代謝に関わり神経伝達物質の合成を促進します。正常な免疫機能の維持、赤血球のヘモグロビンの合成にも関わるなど身体のあらゆる所で働く、生命維持に不可欠なビタミンです。
ペットフードの原材料では魚、鶏肉、ひよこ豆、大豆、ジャガイモ、ビール酵母に多く含まれています。


ビタミンB12

ここまで挙げてきた他のビタミンB群と同じように、ビタミンB12にはコバラミンという名前があります。しかしペットフードの原材料一覧ではビタミンB12と表記されていることがほとんどです(なぜだろう?)
ビタミンB12はレバーなどの内臓肉、魚介類、卵など動物性食品に多く含まれます。
神経系および血液細胞を健康に保ち、DNAの生成をサポートする重要な働きを持っています。不足すると正常な赤血球を作ることができなくなり貧血を起こします。貧血って鉄分だけが関係しているんじゃないんですねえ。

葉酸

葉酸はビタミンB12とともに赤血球を作る働きを担っています。DNAやRNA、タンパク質の合成を促進し細胞の生産や再生を助けます。
ペットフードの原材料ではレバー、ビール酵母、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれます。


ビオチン

ビオチンはビタミンHと呼ばれることもありますがビタミンB群に含まれます。糖質、脂質、タンパク質の代謝において補酵素として働きます。ここまでビタミンB群のほとんどが糖質、脂質、タンパク質の代謝に関わると書いてきましたが、その代謝の段階で補助的な役割を果たすのがビオチンです。逆に言えばビオチンなしでは他のビタミンや酵素も仕事ができません。
ペットフードの原材料ではレバーや卵(卵黄)に多く含まれています。卵では生の卵白にはビオチンの吸収を阻害するアビジンというタンパク質が含まれます。ですから生の卵白だけを継続的に与えるとビオチンが欠乏して皮膚や皮毛の健康が損なわれるおそれがあります。でも卵の生の白身だけを毎日犬に与える人なんてそうそういませんよね😆
卵を加熱して与える場合は全く問題がありませんし、生卵を与える場合も全卵であれば黄身に含まれるビオチンの方が白身のアビジンよりもずっと多いので、まず問題はありません。


ビタミンB群について、種類別に書いてきました。
実はね、ビタミンB群には食品から摂取する以外の方法があるんですよ。それは腸内細菌による産生です。腸内に住んでいる微生物のうちビフィズス菌や乳酸菌は主に水溶性の食物繊維をエサにしてビタミンB群を産生しています。
この食物繊維についてはまた別の項目で詳しく書きますが、ペットフードに食物繊維が含まれているのはこういう理由もあります。
ただし猫の腸内細菌はビタミンB群の産生が得意ではないので食事からの摂取が必須です。

ビタミンB群はすべて水溶性ですので、摂取する量が多すぎた場合には尿といっしょに排出されるので過剰症になることはまずありません。


⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹⇹

ビタミンAとBだけでずいぶん長くなってしまったので、ここで一旦切りますね。
引き続きビタミンとミネラルについて書いてまいります。

2022年9月6日火曜日

原材料の最多出場選手『ミール』を知ろう

Image by jagdprinzessin from Pixabay


ペットフードを買う時には原材料一覧をよく見て 選びましょうとよく言われます。けれど原材料一覧を見ていくと「???」ということばかり。
誰もが一度は「読めば読むほどわからん!」と言う経験を持っているのではないでしょうか。

私が16年にわたって愛犬のことを綴ってきたブログSMILES@LAには、フードの原材料についても色々と書いて来ました。おかげさまでフードのことを読みに来てくださる方も増えたので、原材料についての説明を1箇所にまとめようと思い立ったのがこのブログです。

まずはペットフード原材料一覧の最多出場選手とも言える『ミール』をご紹介します。今回は肉類のミールで、魚のミールはまた別に書きます。

原材料一覧の1番か2番に書かれているチキンミールとかラムミールというアレです。「チキンと書いてある次にチキンミールって書いてあるの何?違うものなの?」って混乱しますよね。(私はしました)


Meat and bone meal

原材料の表記でチキン、ラム、牛肉といった肉の名前で書かれているものは、私たちが知っている肉です。原材料の時点では生です。
一方、ミールというのは原材料の時点ですでに加熱加工されているものです。

↑上の画像、ミールの見た目はこんな感じです。
正式にはMeat meal、骨が含まれる場合にはMeat and bone mealと言います。mealというのは「挽いたり潰したりして細かくした食べ物」という意味があります。オートミールはオート麦のミールです。日本語の肉粉や肉骨粉はこの正式名称の直訳です。でもここでは単に『ミール』と書いていきますね。


ミールの製法

ミール製造の最初の工程はレンダリングと呼ばれるものです。
ミールの材料になるもの(詳しくは後述)を巨大な釜に入れて加熱し、油分を溶かして搾る工程がレンダリングです。
ここで採れた油は、飼料の「チキンファット」「アニマルファット」という脂肪原料になります。

油分の抜けた原材料は、高温で乾燥させて細かく挽いて粉末になります。原材料から油分と水分が抜けているので、ミールはタンパク質がギュッと凝縮されていると言えます。
なお詳しくは後の項目で説明しますが、レンダリングのプロセスでの加熱と、乾燥させるための加熱という2段階の加熱加工は覚えておきたいポイントです。


ミールの原料(国別)

原材料一覧で見ると「チキンミール」「ラムミール」と同じように見えても、実はその内容は国によって違います。

アメリカ

アメリカ食品医薬品局(FDA)が定めた定義に沿って、米国飼料検査官協会(AAFCO)が詳細なガイドラインを発表しています。
AAFCOのガイドラインが示すミールの定義は以下のようなものです。

ラム、ビーフなど家畜肉のミール
レンダリングした後、細かく挽き乾燥させた哺乳類の組織。
血液、毛、ひづめ、角、皮、胃腸とその内容物は含まない。

チキン、ターキーなど家禽のミール
レンダリングした後、細かく挽き乾燥させた家禽の肉、皮、骨。
羽、頭、足、内臓は含まない。

ミールに含まれない内臓肉などは「バイプロダクト」や「副産物」という名の原材料になります。

副産物の定義は
屠畜された哺乳類由来のレンダリングされていない部位。
 肺、脾臓、腎臓、脳、血液、骨、脂肪組織および胃、内容物を含まない腸が含まれる」
鶏など家禽の場合は「屠畜された家禽由来のレンダリングされていない頭部、足、内臓、首」で羽根は含まれません。 
副産物をレンダリングして乾燥加工したものは副産物ミールと呼ばれます。

ここで大きなポイントは、ミールの定義には「屠畜された哺乳類由来」という言葉がないことです。
この言葉がないことはメーカーが「屠畜で死んだのではない哺乳類」を使うことの抜け穴になっています。
つまり事故や病気で死んだ動物の肉(4D)をミールの原料にすることができるということ。(本当は違法なのにFDAも指摘していない)

全てのミールに4Dミートが使われているわけではありません。しかしフードのメーカーはミールを製造している業者から仕入れて、それをフードの原材料にしており、消費者にはミールの中身はわかりません。
だからこそアメリカ産のミールが使用されているフードはメーカーの選択が特に重要です。

※参照


カナダのペットフードはカナダ食品検査庁(CFIA)が規制しており、カナダペットフード協会(PFAC)の会員はAAFCOのガイドラインに従っています。


欧州連合加盟国

ヨーロッパの国々で欧州連合(EU)に加盟している国はペットフードに関するルールも統一されています。EUでアメリカのAAFCOに相当するのは欧州ペットフード工業連合会(FEDIAF)です。
FEDIAFの規定によると「ミールとは、加熱乾燥して水分と油分を取り除いた肉および動物の派生物」とされています。動物の派生物とは骨や内臓類(心臓、肺、胃、腸、腎臓、肝臓)です。
つまりEUの基準で言うミールには、AAFCOで言うところの副産物も含まれます。
またメーカーによってはミールと書かずにバイプロダクト(副産物)と書く場合もあります。

内臓肉は各種ビタミンやミネラルの貴重な供給源ですから、きちんと管理された副産物は決して粗悪なだけの原材料ではありません。

また「屠畜の時点で人間の消費に適していると獣医師によって査定されていること」がペットフードの原材料としての適格要件に定められています。
事故や病気で死んだ動物の肉を使うことは禁止と明記されています。

※参照


イギリスはEUから離脱したため、イギリスのペットフードはペットフード製造者連合会(PFMA)がルールを定めていますが、その内容はFEDIAFと同じです。

※参照


日本

日本でメーカーや輸入業者がペットフード安全法を遵守しているかどうかを管理しているのは国から業務を委託された独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)です。
ペットフード用のミールに該当するものは日本では肉骨粉と肉粉です。
肉骨粉の原材料として認められているのは豚・家禽・イノシシのみです。牛や羊などの反芻動物では骨がBSEの危険部位であるためです。
肉骨粉には肉と骨だけでなく、臓器、ヒヅメ、羽、血液などほとんど全てが含まれています。
肉骨粉や肉粉の原料は屠畜場、食肉加工場、精肉店から回収したもののみと規定されています。

肉粉の場合は、人間の食用油(牛脂など)を取った後の肉と獣脂カス(牛脂などを搾った後の残り)が原料です。
骨は含まれず、内臓は含まれる場合もあります。

日本の場合はペットフードのラベル表記に統一した規定がないため、肉骨粉や肉粉を使っていても「肉類」「肉など」と書いているメーカーもあるし、乾燥肉と表記されている場合もあって、残念ながらラベルでは不明なことが多いのです。


※参照



ミールの栄養

製法の項目で書いたように、ミールは水分と油分がほとんど取り除かれているため、重量当たりのタンパク質含有量が高くなっています。

アメリカのオハイオ州立大学のオッカーマンの著書Encyclopedia of Meat Sciences 「食肉科学事典」によると、ミールの粗タンパク質は約50〜60%と一般的なドライフードの約2倍の高さです。生の肉類の場合75%前後が水分でタンパク質はその残りの部分です。ペットフードの原材料として100kgの鶏肉と80kgのチキンミールを使った場合、鶏肉のタンパク質は約25kg、チキンミールのタンパク質は約40kgで、メインのタンパク質源はチキンミールということになります。

しかしミールのタンパク質のクオリティは製品によって非常にまちまちです。ミールの原料は上に挙げましたが、これらは簡単に言えば正肉を取った残りの部分です。たっぷりと肉のついた部分が使われているのか、骨や脂肪がほとんどなのかで品質に差が出るのは簡単に想像がつきます。

原料の骨の割合が高い場合にはカルシウムとリンのバランスが適正になっていないことが考えられます。ペットフードにミネラルやビタミンの添加が必須なのはこのような「バランスを適正に保つ」という意味が大きいのです。

しかしミールの原材料が良質なものであっても、高温で加熱調理するという製造方法は栄養上大きな影響があります。肉や骨からミールに加工する際に2度の加熱が行われているのは先に書いた通りです。ペットフードは他の原材料と練り合わせて最後にまた焼き上げる工程があります。この加熱調理の際にタンパク質を構成しているアミノ酸の一部が分解されたり変性します。

肉類から摂れるアミノ酸は20種類あり、それぞれ単独での働きもありますが、他のアミノ酸といっしょになって体内で別の種類のアミノ酸様物質やビタミン様物質を合成するという重要な役目もあります。アミノ酸が分解されたり変性していると、体内でのさまざまな働きに支障が出る場合があります。

ペットフードの原材料一覧の最後の方に、メチオニンやリシンといった各種アミノ酸の名前が並んでいたり、アミノ酸様物質のタウリンが添加されているのは、上記のような理由でアミノ酸が体内で十分に働けないことを考慮してのことです。



ミールは悪者?


肉類のミールのことをあれこれと書いてきましたが、それではミールを使ったフードは良くないのでしょうか?フードのメーカーや販売業者の中には、ミールは危険な原材料でミールを使ったフードは避けましょうと力説しているところも見かけます。

しかしミールの不完全な部分は、アミノ酸の添加やその他の原材料で補われていることは原材料一覧を見れば読み取れます。
人間の食用には適さないけれど栄養価のある部分を加工して利用することは、食資源を有効に使うという点でも大切なことです。

またミールを使うことでペットフードの価格を抑えることもできます。愛犬や愛猫にできるかぎり良いフードを食べさせたいと思っていても誰もが1kg3000円以上するフードを気軽に買えるわけではありません。

ミールを加えることでペットフードが手頃な価格になり、助かる飼い主さんや動物がたくさんいるのですから、ミールや副産物を使ったフードを粗悪品と責め立てることには私は賛成できません。
(でも中には「これはダメだ!」というのも確かにあるので、それはそれでまた別の機会に)

ペットフードの原材料一覧を見て、それぞれの原料や添加物の意味がわかれば安心や納得につながります。このブログがその助けになれば嬉しいです。

原材料一覧のアンカー役 ビタミン&ミネラル3

 image by congerdesign from Pixabay ペットフードの原材料一覧のラスト辺りにバーッと並ぶ難解な名前の物質たち。あれらのほとんどはビタミンとミネラル類です。今回は3回目、ミネラルを取り上げます。 1回目  ビタミン&ミネラル1(ビタミンAとB) ...